負け犬の言い訳

遠吠えのように言い訳をする負け犬の日記やメモ

小説メモpart1

夏の色

 

 

  夏の暑い日は2人して暑い暑いと言いなが電話してた。約450㌔も離れた場所でも同じように暑い。新幹線で2時間以上かかるぐらい遠い距離なのに「同じように暑い」と考えると不思議に近くに感じた。だから「暑いなあ」って気持ちを共有した時はちょっと近くにいるような気がした。

 窓を開けて寝る前に空を見ると色んな星が見えた。少し寂しい時や不安な時は窓の外に出て星を見た。お決まりのセリフというか思考だが「この星は向こうからも見えるんよな」と考え、地球単位で見たら同じような場所に入れることが嬉しかった。この時ばかりは夏に感謝した。

 暑さを「共有」するだけで幸せになれるアホみたいにメルヘンな自分。
 同じ場所にいることを「確認」するだけで安心出来るアホな自分。

 ただの暑い夏でも幸せになれる自分。

去年の夏はこんな自分に気がつけたことにも感謝した。

 

 初めて夏に感謝した18歳の夏はかき氷のシロップを全て綺麗にかけたような鮮やかな色で心の中に残っている。この夏の鮮やかな色は絶対に消えない。

 来年か再来年か10年後か分からないが、ただの暑い夏でも感謝できる時が来るかもしれない。もし夏に感謝している時が来たらその夏は何色に染まって心の中に残るのか分からないが、おそらく18歳の夏より綺麗な夏は来ないと思う。そんな夏にしてくれたあの子にも自分は「感謝」している。